何も無い春です

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冬が終わり、日本はすっかりポカポカ陽気。
連日、桜満開のニュースが報道されています。
長かった北海道の冬も、ついに終わりを迎えて…というわけでもないようです。
昨日は21℃まで気温が上がったかと思ったら、今日の最高気温は4℃。
玄関を出て初めて外の様子を確認する私にとっては毎日が宝くじ、適当に服装を選んでは失敗を重ねる日々です。

1年前の4月に北海道に引っ越してきて、ひと通りの季節を経験しました。
春にはニセコに芝桜を見に行ったり、夏に富良野のラベンダー畑に行ったり、他にもアスパラを買ってきて食べたり、イクラ、ホタテ、ニシン、ホッケとか…
食べてばっかりじゃないか!そら太るわ!
そんなこんなで、お腹がぷにぷにとしだした12月になると雪が降り始めました。
ある日ドカッと雪が降って、そこからいきなり冬が始まりました。
1年に1回積雪があるかどうか、みたいな地域に住んでいたので、雪といえば楽しいものでした。
常に雪が周りにある環境で住む、というのは初めての経験だったので、冬めいた光景は魅力的でした。

冬の北海道といえば、何と言ってもスキーです。
前住んでた地域にもスキーをできる場所があったので、中学生頃までは頻繁に行っていました。
正月に実家に帰った時に、物置に眠っていたスキー板を引っ張り出してきて北海道に送付。北海道では受け取った板をチューンアップしてもらって、中古屋でスキー靴を購入。
意気揚々とスキー場に繰り出して、ほとんど10年ぶりくらいにぶっつけ本番で滑ってきました。

……

面白いことは特に何も起こらず、意外とちゃんと滑れました!
体が覚えているもんなんですね。自転車と同じです。
思い立ったらすぐスキー場に滑りに行ける環境があるなんで、北海道の冬はなんて素晴らしいんだ!

と思っていました。

しばらく北海道の冬を過ごしていると、何か物足りない気がします。
本州にいた時に比べて食べ物は美味しいし、娯楽も十分、雪もそんなに苦じゃない。
昔はよく冬に星空を見上げていました。大学受験を目前の塾の帰り道、友達と将来について語りながら帰路に就く。その頭上で澄んだ空気に輝く冬の大三角を見上げるのが好きでした。
地球から見える恒星で太陽の次に明るいのがおおいぬ座のシリウス。シリウスが空の低いところにあると、キラキラと色を変えながら光るのです。
でもそういえば、冬になってから全然星空を見た記憶がありません。
結構な頻度で雪が降っているし、降雪がない時でもずっと曇っています。
星空どころか、しばらく日光すら浴びていないかもしれません。
この時期は色々忙しい時期だったので、精神的に追い込まれることも多々ありました。
北国で日が短くて夕方5時には真っ暗だった、というのも拍車をかけていました。
ストレスも多かったので飲酒量も増えます。そら太るわ!

12月~1月頃はどんよりとした空の下でぐったりと日々を過ごしていました。
家から働いたり、労働環境を改善してもらったり、悩みを聞いてもらったり周りの人にも助けられていました。
2月になって雪まつりの時期になるとだんだん日も長くなり、ストレスフリーな生活を送るようにしていたこともあって、だんだん元気になってきました。

森進一の『襟裳岬』という歌があります。
1974年に発表された曲です。
ぜひ一度聞いてみてください。

襟裳岬の1番はこのような歌詞です。

北の街ではもう悲しみを暖炉で燃やしはじめてるらしい
理由のわからないことで悩んでいるうち老いぼれてしまうから
黙りとおした年月を拾いあつめて暖めあおう
襟裳の春は何もない春です

半世紀も前の曲ですが、北海道でひと冬越えてみるとこの歌詞が本当に響くのです。
いろいろと厳しい冬でしたが、だんだん春が近づくにつれて、悩みが薄れていって、明るい日々を送れるようになってきました。
ゴールデンウィークの桜が咲く頃には悲しみを燃やしきって、何も無い、清々しい春を迎えられるといいな、と思っています。

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